もし、最後の食事になったとしても
おいしく食べてほしいという思いです。
コントラクトフード事業部
K.M. 入社2005年
人を支える仕事をしたくて、老人ホームを選びました。
短大の栄養科で栄養士の資格を取り、老人ホームの食事に関わる仕事をしたくて就職先を探していたときに、当社の前身であるジャパンコントラクトフード株式会社に出会いました。ちょうど新しく老人ホームが開業するタイミングだったので、そのオープニングスタッフとして入社しました。その後、3施設ほど異動しましたが、ずっと老人ホームの食事を担当しています。
老人ホームを志したのは、姉の影響が大きいと思います。上の姉は介護士として高齢者の方と毎日のように接していて、下の姉は保育士として働いています。私も2人の姉のように、人を支えられる仕事をしたいと考えるようになりました。
現在は神奈川県伊勢原市にある、満床55名の老人ホームで食事を作っています。
チームで協力し、互いに意見を言い合えるようにしています。
老人ホームの食事で難しいのは、それぞれの症状や容態に合わせて、食事を作り分けなければならないところです。
健康な方が食べるごく普通の食事を「常食」と言いますが、それに対し、食材を小さく刻んだ「刻み」や、ミキサーにかけた「ペースト」などがあります。同じ刻みでも、食べる方に合わせて大きめに刻む場合や、細かくする場合があります。
メニューは基本的に皆さん同じですが、料理ができ上がってから、5種類ほどに加工しています。調理や材料の発注などを担当するのは私1人ですが、下ごしらえや配膳、厨房の清掃・洗浄などを担当しているパーサーが3人いて、チームで厨房の仕事に取り組んでいます。その日のメニューは前日に必ず確認し、調理に時間がかかりそうであれば早めに取り掛かるなど、段取りを組むことも必要です。
メニューのレシピは本社から送られてきますが、必ずしもレシピどおりにいかないこともあります。例えば野菜から水が出たり、ちょっと長めに時間を置いてしまうと、味が薄くなったり。そういう場合の調整は、現場に任されています。味を調える際は、パーサーの皆さんの意見を聞くようにしています。
せっかく作る食事ですから、入居者の皆様においしいものを食べていただきたいですし、パーサーの意見を採り入れることで、互いに何でも言い合える関係を築くこともできます。
入居者の方の回復に伴い食事を変えるのは本当に嬉しいです。
もともと私は、栄養管理に興味を持ってこの仕事を選んだので、特別料理に興味があったわけではありませんでした。でも、仕事を続けていくうちに料理が好きになりました。
作るメニューは和食、洋食、中華といろいろあって、レパートリーが広がりましたし、「この料理はこうやって作るんだ」という発見もあります。この仕事は自分に向いていると思っているので、ずっと続けていきたいです。
老人ホームの食事は、高齢者の方々が対象です。料理をしながらいつも思うのは、「いつのどの食事が、最後の食事になるかわからない」ということです。だからこそ、おいしく召し上がっていただきたいという思いも強くなります。
時には、同じ入居者の方の食事が、ペーストから刻みに変わったり、刻みから常食に変わるなど、回復に向かって変化する場合もあります。それまで病状が重かった方の食欲が出てきたり、飲み込む元気がついてきたり、味覚が戻るという場合です。そんなときは本当に嬉しくて、この仕事をしていて良かったと思います。
現場にいても、ACA Nextの一員として責任を持つということです。
入居者の皆さんに、安全でおいしい食事を提供するには、自分自身の健康管理が大切だと日々感じています。
私が風邪を引いたり、体調が悪くなると、正しく味見することもできなくなってしまいます。ですから、自分の食事については脂っこいものを避けて、なるべく野菜や魚を摂るように心がけています。それから、睡眠を十分取るようにしています。
また、当社のスタッフは普段、それぞれ別々の施設で食事を作っていますが、もし1施設、1店舗で何かミスや事故が起これば、当社の全現場に影響が出てしまいます。そのことは常に意識して、身を引き締め、責任感を持って仕事に取り組んでいます。